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ホール素子校正用NMR磁場測定器
EHC−1000 |
NMR(核磁気共鳴)を用いて高精度なホール素子の校正が行えるように設計しました。
概 要
従来、ホール素子の校正には標準磁石として永久磁石が一般的に使われておりましたが、校正磁場が固定であり、なおかつ位置的な制約で同じ条件での校正が困難でありました。
本機を用いた磁場の校正では十分な磁場均一空間の中で0.1Tから1Tの範囲を連続可変してホール素子の校正が行えます。
また、NMR(核磁気共鳴)を用いた磁場計測では温度依存性が無く、国際的にも認知された標準校正の方法として絶対磁場の計測に広く知られておりますが、測定器の価格が比較的高額であるため、一部の高精度な磁場測定の為に物理実験分野や核装置実験施設等に使用される事がほとんどでした。
本機はNMR(核磁気共鳴)を用いた方法で高精度測定を維持しながら低価格を実現した製品です。
本器は次のような特徴があります。
1)プロトンのNMR(核磁気共鳴)信号を検出し、絶対磁場計測を実現。日本電気
計器検定所でもこの方法で校正が行われています。
2)1プローブで0.1Tから1Tまでの広範囲な測定範囲を計測。
3)
自動サーチ機能、自動追尾機能により取り扱いが簡単。
4)小型軽量設計で持ち運びが可能、現場にて校正作業が行えます。
5)外部のオシロスコープを接続することで簡易な磁場測定器としても使えます。
6)磁場値の概算を内蔵ホール素子にて知り、その近くのNMR信号をサーチするユ
ニークな計測方法。
全自動で全領域のレンジ切り替えと信号ロックが行われます。
外観写真
基 本 構 成
1) EHS−1000型 NMR磁場測定器本体 ・・・1
2) 磁界発生器 (電磁石及び電源) ・・・1
3) 制御ケーブル
・・・1
4) 取扱説明書・試験成績書
・・・各1部
5) ACケーブル、予備ヒューズ
・・・各1
構 成 図
EHS−1000型の主要性能
磁場発生範囲 |
0〜1Tesla |
磁場測定範囲 |
0.1〜1Tesla |
校正精度 |
10μT |
ポールピースギャップ |
6mm |
ポールダイア |
80mm |
変調方式 |
磁場変調 (商用周波数) |
変調幅 |
0.1mT |
基準周波数安定度 |
1×10−6/h (4.25760MHz) |
計測値表示 |
最小桁1μT(1999.999mT) |
測定レンジ |
3レンジ |
NMR試料 |
プロトン固形 |
マグネット制御電圧 |
0〜10V |
オシロ用出力 X軸 |
2VP−P |
オシロ用出力 Y軸 |
100mVP−P |
プローブ外形寸法 |
4×38×74mm先端 |
測定部本体外形寸法 |
100(H)×250(W)×330(D) |
磁場発生部外形寸法 |
230(H)×200(W)×320(D) |
測定部本体重量 |
4Kg |
磁場発生部重量 |
26Kg |
所用電源 |
AC100V 50/60Hz |
*本機の仕様は予告無く変更される事があります。
各部の説明
全面パネルには磁場強度表示とマグネットのおおよそな磁場強度を表示するパネルメータがあります。また、背面には付属プローブを接続する接線とマグネットをコントロールする為の出力、及び電源入力等があります。
EHS−1000型付属マグネットの外観
正面
背面
側面
EHS−1000型付属マグネットの磁場均一度
ホール素子を精度良く校正するには、磁場強度を測定する位置とホール素子を固定する位置とで磁場値の違いが少ないことが必要です。
EHS−1000型付属マグネットでは中心付近±5mmの範囲(平面方向)において2μT以下の磁場均一度が保たれており、NMR検出位置と校正対象となるホール素子の位置が多少ずれていても十分な測定精度が得られるようになっています。
また、本機専用のプローブはNMR観測点と校正するホール素子とを最短距離で固定でき、常にほぼ同じ点での校正が行えるように設計されています。
以下に本機付属マグネットの磁場分布を示します。(測定磁場値は約1Teslaです)
1.0200 Tesla近傍での磁場分布図(縦軸は磁場強度、横軸はミリ)
ポールピース中心付近の磁場平滑度
EHS−1000型を使ったホール素子校正の方法 ◆
使 用 方 法(本機のセットアップ方法は除きます)
1)
EHS−1000型付属のプローブに校正対象となるホールプローブを
2)
中心位置の表示にあわせてセットします。
EHS−1000プローブ
3)
FIELD SETボリウムをゆっくり上げていき、FIELD ADJ.
インジケーターを見ながら目的となる磁場値付近に合わせます。
4)
しばらくするとLOCK IND.ランプが点灯してNMR信号がロック
されたことを示します。(この時オシロスコープのモニタ出力にNMR信号
(微分処理された信号)が観測されます)
5 )
FIELD INTENSITY表示を見ながら目的の磁場値になるよう、
ゆっくりとFIELD SETボリウムを回します。 この時LOCK
6)
IND.ランプが消えてしまった場合、そのまましばらくおくと再び
NMR信号をサーチしてロックし、LOCK IND.ランプが点灯
します。
7)
目的の磁場値になりましたらホールガウスメータを調整して校正を行って
ください。
EHS−1000型の装置構成
(1) プローブ
計測探針として静磁界中に挿入する部分で、すべて非磁性材料と非磁性部品
で構成されています。試料を包むようにして巻かれた発振検出コイルと、静
磁場に平行に配置した変調コイル及び発振回路の電子部品が組み込まれてい
ます。実際のプローブは試料コイルを3個用いて、レンジ切換信号により広
い計測範囲をカバーしています。
(2) 発振制御検波増幅回路と周波数可変制御
プローブからの信号を受けて発振レベルの制御と発振電圧に含まれる微弱な
NMR信号を低雑音増幅する部分、及び発振周波数制御用電圧可変容量素子(バ
リアブル・キャパシタ)がリニアなV/F変換を行うための直線近似回路などで
構成されています。発振強度のレベル制御は電圧可変容量素子で周波数を可変
する際、発振強度を一定に保持してNMR信号を常に高感度で検出するために
不可欠な役割をもっています。
(3) 信号レベル制御、パルス化、誤差電圧検出回路
NMR 信号を増幅して一定レベルに制御し、微分してゼロクロス点を作りパルス
化します。このパルス化されたNMR信号で、変調に用いたランプ波をサンプル
ホールドすることで誤差電圧を発生させます。NMR信号が一定レベル以上で検出
されるとパルス化され、ロックイン・パルスを発生させて追尾制御が可能になり
ます。ここで作られた誤差電圧は手動及び掃引電圧と加算され、直線近似回路を
経て電圧容量可変素子に供給され、追尾制御のループを構成します。
(4) 変調電圧及びランプ波回路
磁場変調コイルに三角波電圧を供給して直線的な磁場変調を加える回路で、商用
の電源周波数に同期させてライン周波数の誘導雑音などを回避しています。三角
波に変換された電源周波数電圧はサンプルホールドのリファレンス電圧とオシロ
観測用のX 軸出力電圧になります。
(5) 周波数計測表示と観測用オシロスコープ
核種をプロトン(1H)とした場合、磁気回転比から算出された周波数を水晶発振器
などで作って基準周波数とし、カウンタのゲート周期にすることで磁場の強度を
直接表示させています。
オシロスコープは定振幅化及びパルス化される前の信号を微分波形で取り出して
X軸信号とし、X軸に前述の三角波を加えてNMR信号の監視ができるようにな
っています。
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