エコー電子ホーム
HOME 会社概要 お問合わせ
FAQ
特殊機器


 

特注品のご紹介>>真空空間内対応プローブ
 ◆ NMR磁場測定器の真空空間内対応プローブ

【概要】

弊社では、長年に渡りNMRを用いた磁場強度測定器を製作、販売して参りましたが、この度、日本原子力研究所 高崎研究所様にて高真空空間に設置するNMRプローブを開発設計する機会をいただき、一応の成果を得る事ができました。

従来の構造と素材を全て見直す事で高真空に耐えうるNMRプローブであると同時に、高真空空間におけるアウトガスの発生等を極力低減した構造になっているのが特徴です。

【従来型NMRプローブの高真空空間での問題点】

従来のNMRプローブは大気中での使用を基本に考えてあるため、高真空空間での使用はいくつかの問題点がありました。

それはまず高真空状態でのプローブ構成材料からのガスの発生です。 プローブに接続されているケーブルの被覆はビニールを使っており、これらからのガス発生が考えられます。  

また、サイクロトロン内部での加速電場を生成するディー電極によってビニール被覆のケーブルがRF加熱されてガスを発生し、加速器内部の機器の絶縁不良を起こすなどの問題がありました。

【高真空対応プローブの構造】

今回製作致しました高真空対応プローブは上記の様な高真空中における問題点をなくすべく、マテリアルの見直しをはかりました。

まず、信号のやりとりに使っているビニール被服のケーブルを耐熱性のポリイミド被覆の銅線を用いることにし、耐熱性とガスの発生に対処しました。

また、プローブ内部の電子回路を構成するエポキシ基板をやめて、銅板の上にデバイスをビルドアップすることで発振回路を構成致しました。

尚、各パーツを固定するための接着剤として真空用の接着剤(Varian社トールツール)を各所に使用致しました。

【高真空対応プローブの仕様】

 今回製作したプローブは次の様な仕様となっております。

 測定範囲     :1.6〜2.1TESLA
 変調幅       :最大約12mTESLA
 ケーブル長    :約2m
 測定精度     :±0.01mT
 試料        :プロトン固形

【装着及び動作試験の結果】

  以下に作成時の様子、実際に測定した様子を示します。

 
fig.1
  プローブ内部の写真です、この時はまだ先端試料コイルが組みれておりません。

発振回路のビルドアップの様子がお解りいただけると思います。

 

 

 

fig.2
  プローブ先端部の拡大写真です。

変調コイルの中心に銅箔でシールドされた試料及びセンサーコイルが入っています。

 

 

fig.3
  AVFサイクロトロン内部に設置した高真空対応プローブの様子です。

 

 

 

fig.4
  AVFサイクロトロンの磁場中におけるNMR信号波形です。 2.031TESLA 変調幅約12mTESLA となっています。

現在、製作から2ヶ月経過、アウトガスによる他機器への悪影響等は起きていない様子です。

 

 
HOMEに戻る