◆NMR磁場測定器(NMRテスラメータ、ガウスメータ)の概要◆
【特徴】
核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance 以降NMR)を利用した磁場測定器
(NMRテスラメータ)は他の方式の磁場測定器(例えばホール素子を用いたもの
等)と比べて絶対磁場の測定を行える事が大きな特徴です。
核磁気共鳴を用いることで核種(水素原子)によって定まった静磁界強度の
共鳴周波数を検出して磁場の強度に換算するので温度変化によるドリフト等が
ありません。
NMR磁場測定器はこの様な特徴をいかしてさまざまな分野で利用されていま
す。
例えば物理学に使われる分析器や、加速器のビームを偏向させる目的のマグ
ネット等の精密磁界強度測定です。さらに高精度な磁場測定としてMRIマグネッ
トの分布測定や、超伝導マグネットにおける永久電流状態での磁界強度変化の
測定にも用いられています。
物理実験や研究発表ではNMR磁場測定器を使うことが絶対値測定の基準と
なっており、特に磁界強度測定器の校正を行う日本電気計器検定所(JEMIC)
様では標準器としてご使用頂いている実績が御座います。
NMR(核磁気共鳴)については「技術資料:NMR磁場測定器の原理」をご覧
下さい。
ETM-101型NMR磁場測定器
【測定精度と測定範囲】
NMR磁場測定器の測定精度は弊社の製品において標準型では1μT、さらに精
密なタイプでは0.1μTの精度が得られる設計になっています。
測定できる範囲は汎用型NMR磁場測定器では0.1T〜2Tの広範囲を一本のプ
ローブで計測可能です、さらにオプションプローブを追加する、または専用型に
て0.03T〜6T(10Tまで測定実績があります)までを量産型でカバーしています。
この他にESR磁場測定器(EFM-30A型)では1mT〜10mTまでの低磁界を測定
できる機種があります
【測定可能な空間等】
測定の為の空間は標準型プローブの先端で厚さ方向10mm、幅20mm、長さ
250mmです。形状が特定された空間に挿入される場合には別途承りますのでご
相談ください。
最近では4ミリ厚、1.5ミリ厚のプローブも開発済みです。
この他に離れた場所から遠隔測定する機種や多数のマグネットを測定処理する
機種が御座います。
標準型プローブ
【磁場の自動制御について】
弊社のNMR磁場測定器を応用して磁界強度を一定に保つ、または目的の磁
場強度に自動設定する磁場制御装置を各研究施設に納品しています。
磁界強度をNMR信号で制御しますので非常に高安定で低ドリフトな磁場設定
を行うことが可能です。
基本動作は高安定な周波数源を設定する磁場値にセットして、その時に観測
される吸収信号を維持する事により、エラー分をマグネット電源にフィードバック
出力します。
設定値がそのまま磁場の値として固定される仕組みになっています。
磁場制御の例
詳しい説明は弊社営業部までお問い合わせ下さい。
【使用上の注意点】
NMR磁場測定器を使う上での注意事項として磁場の均一性があげられます。
通常、弊社の製品では1×10-4/CC(10mmのキュービック空間内で1×10-4)
以上の均一性があれば計測が可能です。 磁場の均一性は測定精度を高める
上で重要な要素となります。また、NMR磁場測定器は高感度な受信機であるた
め、外来ノイズや振動に敏感です。
安定性を維持するにはこれらを発生する機器から遠ざける等の配慮を行って
ください。
詳しくは「技術資料:NMR磁場測定器を使う上での注意点」をご覧下さい。
【NMR磁場測定器が使われている主な研究機関】
理化学研究所、放射線医学総合研究所、高エネルギー加速器研究機構
日本原子力研究開発機構、大阪大学核物理研究センター、東京大学
筑波大学、等、順不同敬称略
「NMR磁場測定器 FAQ」もご参考ください。
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